地域商社の事例を26個紹介をしよう

地域商社。まだまだこれから拡大していく業態。

地域商社という名前に縛られなくてもいいが、地域商社的活動/事業がもっと注目され、増え、市場が大きくなると私は思う。

私はこの記事を執筆している時点では総合商社で働いているが、退職し、大好きな日本の地域活性化に携わる。その手段の一つとして、地域商社事業を始められないか、と色々勉強中の身だ。

ネットでもまだあまり多く情報が見つからないので、事例のまとめを作ってみようと思う。是非、何か事業を始めたいと思っている人や、地方へU・I・Jターンしようとしている人、就職活動の人の参考になれば幸いだ。

地域商社とは何か

私のようなパンピーが定義しても信用出来ないと思うので、私が思い描く地域商社像は最後に紹介しようと思うが、まず第三者が定めた3つの定義を紹介したい。

地域には、まだまだ知られていない農産品や工芸品など、魅力ある産品やサービスが数多く眠っています。こうした地域の優れた産品・サービスの販路を新たに開拓することで、従来以上の収益を引き出し、そこで得られた知見や収益を生産者に還元していく「地域商社事業」
 内閣府 地方創生推進事務局

 

 

地方経済を活性化しようと、全国各地で「地域商社」が誕生している。特産品はもとより、観光資源なども含めて地域を丸ごと国内外に売り込む企業や団体だ。市場動向を探って「地産外商」で域内に利益をもたらし、新事業を立ち上げる集団ともいえる。

日経新聞

 

地域で生産されたモノの販売による地域経済活性化において、ただ販路の開拓を行うだけでなく、生産段階から流通・販売までを一貫して見据えたマーケティングを行う存在が地域には必要であり、まさにこの存在となるのが「地域商社」である。つまり、地域商社とは、「地域で地域産品のマーケティングを担う地域発の主体・プロジェクト」と定義できる。

株式会社日本政策投資銀行

 

ふむ。ご覧の通りどこも大よそ同じである。定義はこんな感じでよさそうだ。

かくいう私、筆者がトライしたい事業はそれら地域商社の収益源を外貨獲得に特化させた事業だ。絵で説明すると下記の感じ。デザインはひどいが許して頂きたい。

 

地域商社とは何か、おおよそ分かって頂けたのではないだろうか。

 

地域商社の事例26発

では早速どのような取組が日本でなされているか、紹介したい。

北海道総合商事

北海道 運営:民間 マーケット:海外
取組:

北海道産の農畜水産物、工業製品、知的財産をロシアやASEAN諸国の販路開拓サポート

   ※図は北海道総合商事さんのHPより抜粋

 

ファーストインターナショナル

青森県 運営:民間 マーケット:海外
取組:

主に東北産の冷凍水産物、生鮮リンゴ、長芋などをアジア圏を中心に輸出。また各国からの輸入商売も行う

※図は該社のHPより引用

 

岩手県産

岩手県 運営:3セク マーケット:国内
取組:

物産展や見本市などへの参画を実施。県内工芸品メーカーや食品メーカーの商品開発や販路開拓などの支援を実施

※図は該社HPより引用

 

三陸とれたて市場

岩手県 運営:民間 マーケット:国内
取組:

地元漁業者から調達した水産物を加工冷凍し全国へ販売。CASという最新冷凍技術を保有

 

あきた森の宅配便

秋田県 運営:民間 マーケット:国内
取組:

秋田県産の天然山菜を全国へ販売。消費者と地元の里山に住まう人々を繋ぐ。

※図はあきた森の宅急便さんのHPより抜粋

 

舞台アグリイノベーション

宮城県 運営:民間 マーケット:国内・海外
取組:

地元契約農家から米を仕入れ精米事業を手掛ける。アイリスオーヤマと組み、販路を活用

 

ファーマーズ・フォレスト

栃木県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

メディアにもよく取り上げられているので既知の方も多いはず。ろまんちっく村事業から始まり、食農支援事業、ブルワリー、観光事業と手広く地域商社業を行う

※図はファーマーズ・フォレストさんのHPより抜粋

 

燕三条地場産業振興センター

新潟県 運営:3セク マーケット:国内・海外
取組:

新潟県燕三条の金属加工品のブランディング、域外への販路開拓、PR活動を実施

※図は該社HPより抜粋

 

つやま産業支援センター

岡山県 運営:行政 マーケット:国内
取組:

地元ものづくり企業の技術支援、マーケティング支援などを通じ津山地域の発展と人の定住を目指す

 

吉田ふるさと村

島根県 運営:3セク マーケット:国内
取組:

地元雲南市吉田町を中心に地元産の農産物を使った加工食品の開発・販売を実施。また、市民向けのバス運転業務や、水道工事業、宿泊施設事業など、幅広く地元に根付いた商売を行う。

 

とくしまマルシェ

徳島県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

徳島県内の農水産物関係者、食品メーカーなどの商品を集めたマルシェ(市場)を定期的に開催。集客を行う事で地元団体の収益Upを目指す。

※図はとくしまマルシェのHPより引用

 

四万十ドラマ

高知県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

四万十川流域の地域資源に地元発着型産業を創造すべく地元の素材にこだわった商品開発、道の駅運営などの観光事業を手掛ける。

※図は四万十ドラマさんのHPより引用

 

高知県地産外商公社

高知県 運営:行政 マーケット:国内
取組:

県内事業者の販路開拓、販売拡大のための支援活動を担い、都心部でのアンテナショップ運営なども行う。

 

馬路村農業協同組合

高知県 運営:民間 マーケット:国内
取組:

地元名産のゆずを中心とした商品開発及び拡販を行う。当時は青果物販売中心だったが、独自で川下にも参入し、雇用を創出、地元農業者の所得確保に貢献。

※図は該社HPより引用

 

九州農水産物直販

福岡県 運営:民間 マーケット:海外
取組:

九州経済連合会が中心となり九州産の農水産物を香港の小売企業へ直販出来る商流を作る。総理も排出した麻生家が率いる麻生グループが該社をけん引する。

 

糸島農業協同組合

福岡県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

伊都菜彩という直売所を運営し、農水産物を中心に品揃え、国内でもトップの売上高を誇る。

※図は組合HPより引用

 

クロスエイジ

福岡県 運営:民間 マーケット:国内
取組:

農業総合を流通・商品・生産者の切り口からプロデュースし、スター農家育成を目指す。スター農家を排出する事により、農家の社会的地位を上げ農業の可能性拡大を目指している。

※図はクロスエイジさんのHPより引用

 

KASSE JAPAN

熊本県 運営:民間 マーケット:国内
取組:

九州産交ホールディングスの関連会社。地元農産物、水産物の生産-加工-流通-販売。またRENGAという熊本県南地域の物品をブランド化し全国展開するマーケティングも担っている。

※図はKASSEさんのHPより引用

 

九州パンケーキ

宮崎県 運営:民間 マーケット:地元・国内・海外
取組:

有限会社一平が手掛けるブランド。九州全土から良質な原料を集めパンケーキミックスなどを開発、販売を行う。キャッチフレーズは ”九州の素材だけで作りたかった、毎日のおいしさ” 。また九州パンケーキは店舗も展開していたり、海外への販売も好調。一平はちなみにもともと一平寿司という寿司屋さんが出発点。代表取締役の村岡氏はタリーズコーヒーを最初に宮崎に持ち込んだりと様々な事業を手掛けてらっしゃる。

※図は該社HPより引用

 

こゆ財団

宮崎県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

宮崎県児湯郡の新富町役場が出資し設立。ミッションは ”強い地域経済をつくる” 。新富町の特産品を軸に商品開発、販売促進を行い、地域づくりに貢献する。国産ライチのブランド化や町のふるさと納税を運営。それのみに留まらず、近年は起業家育成にも力を入れており、かっこいい団体。筆者も実際に訪問し、お話しもさせて頂いた。

 

aya100

宮崎県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

宮崎県綾町発信。aya100は ”綾町の魅力を100年後に伝える”という想いから出来たネーミング。 人と地域が共存できる持続可能な町を目指し、有機農業を推進している。デザインの力を使い、情報発信・販路開拓・商品開発を行う。代表の梶山剛さんは驚くほどいい人柄の人物で突然訪問した私を暖かく迎え入れてくれ、ご家族とともに想いを聞かせてくれた。魅力あふれる人だ。

※図は該社のロゴマークを引用

 

ながと物産合同会社

山口県 運営:民間 マーケット:国内
取組:

長門市は市内の農水畜産品等を大都市圏へ売り込むことを成長戦略としており、その指揮を執る組織として設立されたのが該社。ながとブランドとして地元の物産品を首都圏のホテルやレストランなどにPR及び販売を実施。一元的に集荷・出荷・決済などを行う商社機能を保有している。

 

沖縄県物産公社

沖縄県 運営:3セク マーケット:国内・海外
取組:

全国にわしたショップという店舗を展開し、国内外に卸売を行っている。わしたショップを通じて、沖縄県産の食品・食材・工芸品等の販路拡大に努めてきた。わしたショップは全国で14店舗にものぼる。

 

沖縄農業協同組合

沖縄県 運営:民間 マーケット:地元・国内
取組:

沖縄県内に10以上の直売所を展開し、地元の農産物が充実している。通常のJAより観光客に向けた発信なども良く行っており、域外から収入を下支えしている。

 

ジェイシーシー

沖縄県 運営:民間 マーケット:海外
取組:

沖縄文化を広く深く正しく全世界に発信する、を合言葉に事業展開。国内では県内中心にレストラン事業を展開。ホテル事業では私個人も絶対に死ぬまでには泊まりたい、百名伽藍を運営している。貿易事業のマーケットは香港、マカオ、台湾などが中心で、近年はインバウンド事業にも力を入れている。

ちなみにこれが該社が運営している沖縄屈指のホテル、百名伽藍

じゃらんの口コミの評価の高さを見て頂いたらすぐわかる、いいホテル。でも値が張るので、死ぬまでに一度は泊まりたいな、と私は考えている。

 

 

萌す

沖縄県 運営:民間 マーケット:海外
取組:

始めに萌すを”もす”と読んでしまったが、申し訳ない。”きざす”が正しい読み方だった。該社が特徴的なのは今まであまり注目されなかった沖縄の食材、魚を海外輸出している点だ。

 

まとめ

今回は日本各地で活躍している地域商社をまとめてみた。

自分が移住するつもりの宮崎県は少し記事が手厚くなってしまっていることはご愛嬌だ。

興味がある企業や団体はあっただろうか?

人口減少というどうしようもない壁にぶち当たっている日本。更に地方ではその速度も早い。しかし、地方には都市部に負けず劣らず素敵なモノやサービスが存在する。例えばその中でも特定の土地でしか作られない食べ物、歴史的な技法などは一度失われるともう取り返す事は出来ない。

それを少しでも食い止めるべく、外貨を稼いで地域へ還元したい。そのために地域商社事業を興す。

じいっと客が来るのを待つのでもなく、都市部の商社や卸に地域の資源を切り売りしたり、投げ売りするのでもなく、諦めるのでもなく、地域に根差した商社がこれらを束ね、強くし、域外へ活路を切り開いていくことで地域経済は少しでも救われるのではないだろうか。

 

ではまた。

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