買い物、街ブラ、アート、食、景色、そうNYには全てある。金さえあれば何でも出来る。あんまりなくてもそれなりに大体出来る。
だが限られた滞在時間の中、全ては出来ないだろう。優先順位をつけ、観光をするのではないだろうか。
私は5年程NYに居住しているが、自信を持って、老若男女問わず、個人の趣味趣向問わず、NYでやるべきコトでおすすめ出来るのがSleep No Moreである。
ちなみに私はミュージカルでは人並みに感動も出来るが眠くもなる。美術館も絵に引き込まれる事より腰痛を引き起こす事の方が多い。正直、あまりアート的なモノに対して、情熱や思いは持っていない、ただの駐在員であり元留学生である私だが、Sleep No Moreに関しては行ってよかったと思っている。
そこまでおすすめ出来る理由はネタバレを避けたい方のためにも一番下のまとめに書きたいと思う。
以下で概要を説明したいと思うが、一切のネタバレをしない方が楽しめると言えば楽しめる内容でもあるので、気になる方はもうチケット買っちゃって頂きたい。
でも個人的な意見としては、ある程度知ってもサイコ-に楽しいと思う。むしろ、ある程度は知った方が楽しめると思っている。ただ、激しいネタバレはしないので心配しないでほしい。
これ以下を読むか否かはお任せします。
Sleep No Moreとは
一言でいうと劇である。
Sleep No MoreはPunchdrunkというイギリスの舞台会社によって制作された作品で、2011年から公開されている。
一度の劇は約2時間強。ただ、同じ内容が2回繰り返されている、と思う。というのも3回繰り返されるという話も聞いたが、2回な気がした。
演者がいて、我々観客がいる。皆さんが想像するのは、下記の写真の感じだと思う。
が、全く違う。
Sleep No Moreとその他の劇との一番の違いは、観客に与えられている自由さである。個人的な意見ね。
下記の通り劇の構成要素であるストーリー、舞台、演者、観客の概要を説明する。
ストーリー
劇の題材はシェイクスピアのマクベスという作品とヒッチコックのレベッカという作品である。その2つの作品が混ざっているというのが正しい気がする。
舞台
McKittrick Hotel地図という1939年にマンハッタンのチェルシー地区に建てられたホテルである。ただ、そのホテルは開業直前に第二次世界大戦が始まってしまい、オープン前にして閉館というなんとも可哀想なホテルなのだ。
そのホテルは6階建てになっていて、全て階段でフロアを移動出来る。
各フロアには大きな空間や小さ目の部屋やそれらを繋ぐ廊下などが作られていて、内装から小物、雰囲気までマクベスやレベッカの世界観が再現されている。そう、それら全てが劇の舞台である。
演者
演者は25人ほどらしい。演者はそれぞれの役をセリフ無で演じる。叫び声や笑い声はある。
役とシーンによって演者が現れる舞台はバラバラだ。例えば、シーン1では3階にある病室で演じていた演者が次のシーン2を演じるため5階にあるバーにホテル内を移動するのである。
ポイントとしては劇中、あらゆるフロアであらゆる部屋で演者の演技は同時並行的に進んでいるという事だ。なので1度の観劇でSleep No Moreの全てを観る事は残念ながら不可能。
それぞれの演者の演技力というのは私にはわからない。ただ、素人の私にとっては十分すごかった。セリフは無いが、十分に伝わるものがあった。
観客
劇中のルールは2つ。
仮面を被る事、しゃべらない事。
そうすることにより、我々観客は”何者でもないモノ”になる。
あとはもう自由である。演者に3cmくらいまで近づいたり、気に入った部屋やそこの小物を手に取って眺めたり、物語を少しでも追うために特定の演者を文字通り走って追いかけたり、疲れて座って休んだり、とにかく自由だ。
流れ
箇条書きで纏めたいと思う。
0.マクベスとレベッカの概要を知っておく
事前にあらすじだけでも良いので上記2つの物語を知っておく方が圧倒的におススメだ。
1.チケット買う
Websiteで買える。英語だが難しくない。
2.当日McKittrick Hotel地図へ行き、並ぶ
チケット買う際に時間を選ぶ。その時間に合わせて出動。ホテルの付近はあまり何もない場所だが、そこだけ明らかに人が並んでるので迷う事はない
3.IDチェックと入場
パスポートなど身分証明は忘れずに。右手の甲にスタンプを貰う。入場後は手荷物やコートなどを預ける。一人$4掛かる、カードでも支払可能。その後にDeskに座ってる人にチケット買ったヒトの名前を伝える。チケットは印刷し持参する必要はない。そこで観客一人に一枚、トランプのカードを貰う
注意点:劇中は走ったり、階段の上り下りをたくさんする。なるべく身軽になる事を推奨する。万が一何か劇中に失くした場合、私個人の意見としては多分見つからないと思う。あと、冬でも暑い。
4.Manderley Bar(マンダレイ・バー)到着
暗い廊下を進むとバーに到着する。到着時に仮面を貰う。これで持ち物はトランプのカードと仮面だ。既に異空間というか非日常感は溢れているが、このバーがホテルのフロント的な場所でここから観客は劇中へトランプの番号順にいざなわれる。実際に飲み物も買える
5.トランプの番号が呼ばれ、その順番で劇中へ
呼ばれた順番に進むとエレベーターへ乗せられる。その前に仮面の着用とおしゃべり禁止のルール説明がある。あと困ったらマンダレイ・バーへ戻る事、またはホテル内にたまにいる黒仮面に助けを求められる事を告げられる。
注意点:旅行の場合、誰かと来る事が多いと思うが、ここで離ればなれになる可能性が非常に高い。というか、まあバラバラに回った方が正解だと思う。どうしても誰かと一緒に回りたいのであれば、トランプの番号が呼ばれる順番を無視すれば良い。確認はわざわざされない。何故かアジア人はカップルや友達同士で回ってる率が高かったと思う。
個人的な意見だが、劇の流れに身を任せ個々人でいった方が楽しいと思う。結局2-3時間の劇中にばったり会う事があるし、最後は合流する。またバラバラに回った方が思い出話が2倍くらい楽しくなる。
6.劇の始まり
基本的に観客が取る行動は3つかなと思う。
- 特定の演者を追い回す
- 行き当たりばったりで出会った演者の演技を観る
- ホテル内をただ彷徨う
初心者におすすめは一つ目の特定の演者を追い回す、だ。特にマクベスやマクベス夫人的な演者を見つけたら追えば、ストーリー的には分かりやすい。ただ、演者走ったりするので、頑張ってついて行ってほしい。私は行き当たりばったりも嫌いではなかった。
7.劇の終わり
演者について行こうが、演者を無視してうろついてようが、最後はマンダレイ・バーへ連れてこられる。考えた人ごいすー。そこで解散だ。
まとめ
Sleep No Moreの他の劇との違いや魅力を下記に挙げよう。
- 舞台と観客席、演者と観客が分かれておらず同じ場所にいる
- 観客がシーンを選択出来る(観たくても見つからない場合もある)
- この世と同じく物語は同時進行していく
- すぐそこで役者の迫真の演技が観られる(たまにぶつかったり当たったりするレベル)
- 普通の劇では視覚、聴覚を使うが、それ以外の触覚・嗅覚・味覚も使う
- 仮面とトランプがもらえる(仮面は1つあると何かと便利そう)
- ホテルに入った瞬間から続く、非日常感
- そして何よりも、NYっぽさが全力
Sleep No Moreは$100程度である。安くはないが高くもない。
ググればわかる通り、私以外にもこの劇を称賛する声は多い。
ただの商社勤めの舞台芸術には全く明るくない駐在員でさえ、ここまでおすすめできるNYに来たら是非やって欲しいNYらしい体験は他にはなかなかない。
是非ご体験を。
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