『要保存レベル』総合商社の仕事内容の詳細–現役商社マンが語る

総合商社ってどんな仕事してるの?

という問いへの答えは比較的簡単だと思う。就活中や社会人として数年働いた事のある方ならそれなりに説明出来るんではないだろうか。私なら大まか以下の2つに総合商社の仕事は大別出来ると思う。

トレーディング と 事業投資

である。この2つの仕事に関しての説明はたくさん記事が出てくる。一般的に回答出来るし、実際商社で働かなくても理解出来るからだ。

ではこの問いはどうだろうか。

総合商社で働いている人って具体的にどんな仕事してるの?

この問いへの答えはやはり一言では難しい。現に”総合商社 仕事内容”とGoogle氏へ問いかけても表面をなぞっただけのサイトしか出てこない。総合商社の仕事なんてものは表面的すぎる。会社つったって実態は無く、ただの文字と歴史だ。実態はそこで働いている何千人のヒトが会社そのものだと私は思っている。

さらに”グローバル”、”ラーメンからミサイル”、”高収入”、”激務”、”モテる”(嘘だ。モテるのはイケメンに限ると強く主張しておく)、など逆に多くの情報が溢れていて、ホントのところ、総合商社にはどんな仕事の種類があり、具体的にどんな仕事内容があるかという答えは殆どなかった。なので、一現役としてリアルに書こうと思う。

仕事の種類

上記で述べた通り、トレーディング事業投資が総合商社におけるメインの仕事だ。実はそれにもう一つ忘れてはならない仕事がある。それはコーポレート部門の仕事だ。なので、これ以降はこの3つをブレークダウンしながら結局総合商社で働く人々がどんな仕事をしているか紹介出来ればと思う。

トレーディング

まずトレーディングを自分流に簡単に説明すると、需要と供給のギャップを埋める仕事だ。

わかりやすい例を挙げると、こんな感じだ。

日本の企業Aはある製品を作りたい。だがその製品にはXXXという原料が必要。企業Aは残念ながらどこの誰がその原料XXXを売っているか知らない。一方アフリカの企業Bは原料XXXが売り物の会社だか最近余って困ってる。そこで登場するのが商社だ。XXXを企業Bから買ってきて、企業Aに売り、間を取り持つのだ。これぞtheトレーディング。

では商社マン一人ひとりにはどんな仕事がトレーディング関連商売で必要とされてるか。大体のトレーディング商売は下記4つに分類出来る。例外もあるとは思うが、是非許して下さい。

1.購買担当

モノを買ってくる担当だ。そのまんまである。文字にすれば簡単だがそんなに世の中甘くない。ただ買うだけならメーカーや中小企業だって出来る。商社を通して買う事によっていかに生産者と顧客の両方へメリットを提示できるか。例えば財力はあるから大量に買える、すると顧客には安く売れる、などなど。要は安く仕入れるために色んな知恵や武器を使い生産者と交渉するのがメイン業務だ。

2.販売担当

こちらもそのままだ。1.購買担当がなるべく安く仕入れたモノをなるべく高く売る、これが彼らの仕事だ。取扱う商品が供給過剰ならば販売担当の仕事は厳しい。競合との戦いが激しくなるからだ。逆にレアメタル/アースなどの供給不足なモノを売る際は少々語弊はあるが、楽だ。そして売るために競合他社との差別化であったり、新規市場や顧客を開拓したり、新たな販売スキームを構築したりしてどんどんモノを売り、利益を拡大するというのが彼らのメイン業務だ。

ちなみに1.と2.を兼任する場合も多くある。実際に今の私は購買も販売も行っている。

3.物流担当

1.が買ってきたモノを2.がうまく販売した後、物流担当の登場だ。彼らは文字通り生産者から仕入れたモノを顧客までデリバリーを行う事が仕事だ。ただ実際には購買とも販売とも契約を纏める段階から物流担当の仕事は始まる。というのも物流というのはトレーディングにおいて非常に重要な役割を果たすからだ。最も効率の良い物流ルートの開拓、船やトラックなどの手配、物流コストの削減、在庫の管理などまで行う。これがデリバラー、物流担当の仕事だ。

そういえば、様々な部署で新人や若手がこの物流担当をする事が多い。物流を掴む事によりその部署が行っている仕事の全体感が見える事が理由と考える。

4.計上担当

購買ー販売ーデリバリーが終わると彼らの出番。彼らは人前に現れる事はまれである。というのも彼らのメイン業務は計上で、計上とは行った業務を会社の決算書へ反映させることだ。例えば何か買った。買ったから支払をする、在庫が増えたから会社のシステムへ登録する。何か売った。売ったから金を入金する、在庫が減ったから会社のシステムから消す。といった具合だ。お金を扱うので、後述するが財務部や経理部とのやりとりなどの社内折衝も多い。

多くの企業では一般職(最近その垣根も無くなってきているが)が計上担当になる事が多い。ちなみに3.と4.を兼任する場合も多い事は忘れずに伝えたい。また、この計上担当の声がイケボであったり、実際にかわいかったりすると、社内外からの評判が非常に高くなる。皆、人なのだ。

 

大小問わず、トレーディングは上記のような担当と仕事の割り振りによって業務が回される事が多い。総合商社ではこういったトレーディングを多彩な商品軸、大きな規模で行っているというのが、専門商社やメーカーとの大きな違いだと私は考えている。扱う商品がおむつであったり、飲料であったり、金属であったり、自動車であったり、機械部品であったりするだけで、トレーディングの本質は変わらない。

事業投資

私の記憶の限り、就活中の面接で多くの生徒が入社後やりたい仕事で挙げたり、総合商社のイメージとしてあるのが、この事業投資ではないだろうか。

例えば、どこそこの地熱発電プロジェクト。なになに政府から落札する石油採掘権。そこどこ自動車との合弁事業。とかこんな感じの聞こえが良いやつ。これらはどれも事業投資として分類して差し支えないだろう。要は何かを買って何かを売るのでは無く、優良と思われる事業や会社や案件などを見つけ、それに金を投資して、将来的なリターンを得る。これが事業投資。

華やかなイメージもあるが、実際にこれに携わる商社マンというのはトレーディングに比べるとかなり少ない。そしてきつい。リアルな個々人としての仕事までなるべくシンプルにブレークダウンしてみようと思う。あくまで一例という事は含みおいて頂きたい。

1.プロジェクトオーナー

要は事業投資の責任者である。数百億単位の事業投資が失敗に終わった場合、彼らはかなり出世街道的には苦境に立たされる。当然と言えば当然だが。会社の役職では部長や役員レベルがこのオーナーになる事が多い。彼らのメインの仕事は意思決定と会社の更なる上層部へのホウレンソウ(報告・連絡・相談)である。

2.プロジェクトマネージャー

事業投資を進める上での実質的なリーダーがそう、プロマネである。実際に後述するメンバーとともに手足を動かす事も多い。主な仕事は社内外関係者との交渉とその都度の結果や進みたい方向をプロジェクトオーナーへ示す事とプロジェクトの進捗管理だ。例えば大きなプロジェクトとなると、自社単独で進める事はほぼない。対外的には技術を持ったメーカー、プロジェクトを進めたいがお金がない政府、保険を提供してくれる日本政府側の組織、出資してくれる銀行、など多様な参加者がいる。また対社内では、法務部、財務部、経理部、経営企画、各関係営業部などといった関係者もいる。

3.メンバー

彼ら彼女らは忙しい。規模にもよるが、1-2人のこともあれば、4-5人のケースも観た事がある。プロマネの指示のもと動くのだが、資料作成や調査業務などが大半である。例えばプロジェクトを進めるにあたって必要なFS(フィージビリティスタディ)の作成やUpdate、各種説明資料作成、打ち合わせの議事録作成、などたくさんのTODOがある。また社内情報だけでプロジェクトを進めるのに支障が出た場合などは、コンサルにFeeを払い調査を依頼する事もある。

4. その他

ステアリングコミティやPMO(Project Management Office)などの会議体や事業投資全般に関わる意思決定機関などが上記以外にも存在する事がある。

 

コーポレート

コーポレート部門というのは、部署名を挙げると経理部、財務部、人事部、総務部、法務部、経営企画部、広報部などだ。要は上述のトレーディングや事業投資の営業部門がカネを稼ぐ部門だとすると、それらの活動に必要なサポートやアドバイスを行う部門がコーポレートだと言える。

では実際そこで働く商社マンの仕事内容をいくつか挙げてみよう。全ては無理なので同僚などから実際に見聞きした内容を紹介する

財務部のAさん

主なミッションは極力安くお金を借りる事。要は銀行との折衝が多い。商社で必要とされるカネは数百億、数千億という莫大な金額だ。勿論、ただでは借りられないので、コストである金利を安くするため日々銀行と交渉したり接待されたり、社内で必要な金額をヒアリングし資料を作ったり、外貨の保有バランスを考えたり、などが仕事内容だ。

 

人事部のBさん

主なミッションは新卒の採用だ。就職活動をやった方や今している方は容易に想像できると思う。採用方針を決める会議を開いたり、セミナーを開くにあたっての場所やヒトの手配、プレゼン資料のブラッシュアップなどなどのより良い人間を採用するための活動。その他の仕事としては採用した人材の社内教育にも携わる。社内セミナーや説明会の実施も彼の担当となる。

 

法務部のCさん

基本的にいつも忙しいのが彼女だ。各法務部員には担当の営業部署を持っており、その営業部門が法律に関する質問や相談がある際に話を聞き、法的観点からのアドバイスを行う。また営業部門が新規契約を締結する際の契約書を精査したりするのも勿論仕事だ。膨大な量の文字を読み、リスクを洗い出し、法的に当社が守られるように営業を導く。また事業投資などに関わると関係書類を読むだけで数百、数千ページの英文を読み、理解しなければならない。。。大変。

 

ほかにもまだまだあるが、同じ会社に勤めていても、また同期だったとしてもお互いの仕事を完璧に把握できるケースは稀で、ほんとに多用な仕事が総合商社には存在している。そしてそのコーポレート部門というのは営業部門のようにスポットが当たる事が比較的少ないかもしれないが、会社の運営上、彼ら無しでは営業もモノを売る事が出来ない。意外と総合商社で働く3-4割の人々はコーポレート部門に属すのではないだろうか。

まとめ

今回は総合商社では実際にどんな仕事内容がリアルにあるかを説明させて頂いたが、少しはご理解いただけただろうか。

入社の際に掲げた夢や希望職種がすぐには達成できない仕事内容もたくさんあるんだという事実は知っていてほしい。ただ、やはり有能な商社マンであれば、入社した瞬間は希望の仕事が出来ない職場だったとしても、数年後にやりたい職についているもんである。

また、総合商社と聞いてイメージするようなスケールの大きい仕事や、ホームページで見られるようなかっこいいプロジェクトも、実際の仕事を見ているとそんなに煌びやかなものではない。たくさんのパワポ資料作成、無意味と思われる打ち合わせ、よいしょが必要な社内政治、ハードな対外交渉、最低な日程での出張、エクセルでの地道な計算などたくさんのヒトによるたくさんの時間と労力がそこにあり、その全てが1つ1つ商社マンの仕事であると理解頂ければ有難いとおもってます。

 

またプロが書いた本はとても参考になるので、時間あれば読むと更に体系的に理解が深まるだろう。
総合商社――その「強さ」と、日本企業の「次」を探る(祥伝社新書)

商社マン志望なら読むべき本20選+α

 

 

ではまた。

 

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